あなたの悩みに、ひらの先生とゼミ生がアドバイス!開運まちがいなし!
和歌のたとえ薬の毒を吐くがごとし(薬の毒を吐くようなものだ)
お告げの和歌言ひもせず言わねもせじと思へども 今は我が身の上とこそなれ(関わらないようにしていたが、結局、自分のところに降りかかってきた。)
生まれてから今まで恋愛経験がない自分が恥ずかしく、これからどうなるか不安で占ったところ、トラブルが起きるかもと出て、さらに不安になりました。以前占わせていただいたときには「風の波を起こすがごとし」「鶴に亀の会ふがごとし」という良い結果だったので、悲しくなってしまいました。どれぐらいの期間を置いて占うのが良いのでしょうか?
蝶々さん、はじめまして。いつもせいめい歌占で占ってくださって、ありがとうございます。
今後の恋愛を占ったところ「思わぬトラブルが起こるかも」という結果が出て不安になられたのですね。お気持ち、わかります。
今回の結果を見ると、和歌のたとえに「薬の毒を吐くがごとし」とありますね。挿絵の男も縁側で何かを吐き出しています。これは、よかれと思ってやってみた歌占の結果によって、蝶々さんがかえって不安になってしまったことを示しているのではないでしょうか。
以前にも同じ内容で占っているようですが、同じ質問で何度も占うのはオススメできません。占うときは精神を集中して臨み、出た結果を自分でしっかりと受け止めることが大切です。室町時代の和歌占い本にも「同じことを二度問ふことあるべからず」(阪本龍門文庫蔵『歌占』)と書いてあります。むかしから同じ質問で二度占うことは禁じられているのです。
次に占いをするときは、「いにしへの神の子どもの集まりて作りし占ぞ正しかりける」という呪歌を唱えて心を落ち着け、占いたいことに集中してから占ってください。占うときは漠然としたイメージよりも、自分が悩んでいることを具体的に思い描いたほうが意味のある結果が得られるでしょう。たとえば、恋愛であれば「どうしたら恋愛ができるか」「好きになった人に告白するべきか」など、質問をできるだけ明確にしてから占ってください。
1回ごとの結果を大切にして、その結果に基づいて行動してみる。行動して、さらに悩むことがあれば、「なぜ恋愛ができないのか」など、質問の角度を変えて占ってみる。それを繰り返すことで道がひらかれていくでしょう。占いは、あくまでも占い。行動のヒントになりますが、人生をたしかにひらいていくのは蝶々さん自身の行動です。
せいめい歌占を通して、蝶々さんの人生がよりよく導かれますように。
和歌のたとえ鶴に亀の会ふがごとし(鶴に亀が逢うようなものだ)
お告げの和歌
既婚の大学の先生を好きになり、告白はしないけど仲良くなれるところまで仲良くなりたいと考えています。このまま突き進んでいいのか分からなくなったため占いました。いま四年生で来年卒業するため、最後までいい関係でいたいです。本当は告白してもっと深い関係になりたいのですが、それはしないと決めています。占いの結果の意味するところがよく分かりませんでした。出会いとは何なのでしょうか。
みーさん、はじめまして。だんごむしです。
好きな人との関係について……。誰もが悩む問題ですよね。
ただ、とみーさんが想いを寄せるお相手は既婚の大学の先生とのこと。きっと思い悩むことも多いでしょう。告白はしないと決めておられるところや、最後までいい関係でいたいという思いがあるところから、先生を好きでたまらない気持ちと、それを胸にしまっておかなければという気持ちとの葛藤が感じられます。
でも大丈夫です。実を言いますと、歌占の結果を拝見したとき私は嬉しくなってしまいました。なぜなら、とても良い歌だったからです。一緒に見ていきましょう。
まず結果画面のいちばん下をご覧ください。「絶好のとき。またとない出会いがあります」と書いてありますね。素晴らしい出会いがとみーさんを待っています。
しかし、ここでとみーさんが疑問に思っているのは、この「出会いとは何か」です。大学の先生とのことなのか、はたまた違う人とのことなのか……。
それを考えるヒントは絵の中にあります。絵に目を移しますと、松の木の根元に亀がいて、左上から舞い降りようとしている鶴を見上げています。この亀が、今のとみーさんを表しています。大学の先生は松の木です。首を伸ばしても届かないかもしれない。この先も寄り添って一緒に歩いていきたいけれど、彼は根を張っていて動かない。そんな松の木を見上げて悩んでいた亀のもとに、なんと空からふわりと鶴がやってきたのです。
誰かを想うことは素敵なことです。でも今は、松の木を見上げるのを少しお休みして、自分のもとに誰かがやってないか、そんな機会に目を向けてください。亀と鶴のように、この先を一緒に歩んでいける、そんな人にもうすぐ出会えるはずです。
最後に。「千歳まで百歳までと契りけり齢久しき人を重ねて」という歌の、「千歳まで」のあと畳み掛けるように「百歳まで」と重ねているところは本当にロマンチックでキュンとします。「俺は千歳まで。」「わたしだって百歳まで!」こんなふうに思える相手に出会えるなんて、楽しみですね。
素晴らしい幸せがとみーさんのもとに訪れるように願いを込めて、回答とさせていただきました。
読んでくださってありがとうございました。
和歌のたとえ鳥の春に逢ふがごとし(鳥が春に逢うようなものだ)
お告げの和歌萌へ出づる草葉は花になりにけり 夕べのどけき草の
引っ越し(おみくじの「やうつり(家移り)」にあたるでしょうか)について占いました。いい年なのですが、実家から離れたことがなく、早く出たいと思いながら、どうしても不安が尽きません。夏の初めに突然シェアハウスの話が舞い込んできたのですが、「即断しなくていいよ」との言葉に甘えてずるずると保留にしてしまっています。どうすれば……という気持ちで占いましたが、これはやっぱりタイミングなのかな? とドキッとしました。
はさまさん、こんにちは!ご相談いただきありがとうございます。
シェアハウスへの引っ越しをお考えなのですね。はじめてご実家を離れて生活することに対する不安な気持ち、お察しします。
占いの結果の和歌は、とてもいいものが出ていますよ。ご実家から出たいという気持ちをお持ちのはさまさん、この和歌でいえば「萌へ出づる草葉」にあたります。それが、「花になりにけり」、つまり花が咲くということなので、舞い込んできたシェアハウスへの引っ越しはいいものになることがうかがえます。
挿絵も見てましょう。二羽の鳥が芽吹いた草木のまわりを楽しそうに飛びまわっていますね。この鳥の様子から、シェアハウス生活を楽しむはさまさんの姿が想像できます。シェアハウスへの引っ越しは、はさまさんを新たな姿へと生まれ変わらせ、素敵な出会いをもたらすのではないでしょうか。
実家を出れば、それまで家族と助け合ってやっていた家事も自分自身でしなければなりません。家のルールも変わってくるでしょう。そういった変化は、家族の大切さを痛感させ、また、自分自身の成長もうながします。
私は大学進学で上京して一人暮らしをはじめましたが、そこから得たものはとても大きいと感じています。一人暮らしを経験してよかったと思うのは、家事の大変さを理解できたことと、自由な時間が増えたことです。
今までは親にしてもらっていた洗濯、食事の支度、掃除など、こんなに時間がかかるのか、こんなに疲れるものだったんだと、一人暮らしをして初めて実感しました。家事の大変さを実感したことで、家族のありがたさ、お互いを支え合う必要性を知ることができました。
私は家事があまり得意でないのですが、やりたくない家事をする時はお気に入りの音楽をかけて、楽しい気持ちでできるようにしています。そうすると、気の進まなかった家事がいつの間にか終わっていてオススメです!
一人暮らしはとにかく自由です。一人で何をしていようが、何も言われません。見たいテレビも好きなだけ見られるし、起きる時間やお風呂の時間は自分のタイミング次第です。食事も自分の食べたい物を食べられます。
ただ、当然ですが自由な反面、自分自身に責任が付いてまわります。だからこそ、私はスケジュールや体調管理をきちんとしなければいけないと思うようになりました。
まずは元気じゃないと何もはじまらないので、ごはんはしっかり食べましょう!一人だと朝ごはんを抜いてしまう人も多いのですが、活動的な1日のスタートには欠かせません。
ご実家を出られたはさまさんが、新しい魅力を開花させて、もっと素晴らしい人生を歩んでいかれることを、心よりお祈りしております。
和歌のたとえ世を渡るがごとし(世渡りするようなものだ)
お告げの和歌たぐひなくこの身ぞ千代と久しくて よろづのことの叶ふなりけり(すばらしい人生が長く続いて、すべてのことが叶うだろう。)
国文学科に所属している大学一年生です。2020年にオリンピックが開催されますが、ちょうど就職活動をする時期にオリンピック不況が来ると聞いてとても不安です。国文学専攻なので、就職に有利な専攻ではありません。就職できるでしょうか⋯⋯。
ご相談いただきありがとうございます。就職についての不安を抱えていらっしゃるのですね。人生の重要な節目となる就職活動について不安を感じてしまうのは、無理のないことだと思います。
みすけさんが引かれた和歌には「すばらしい人生が長く続いて、すべてのことが叶うだろう」とあり、そのたとえにも「世渡りするようなものだ」と書かれています。これは非常に良い結果ととらえてよいでしょう。
そうは言っても、ほんとうに大丈夫なのかと心配になりますよね。
みすけさんは大学一年生ですから、就職活動がはじまるまでにできることがたくさんあります。大学での勉強に専念すること、友人を増やして人脈を広げること、色々な場所を訪れること、自分は何が得意で、何が好きなのかを知ること。こうして過ごした大学生活こそが、就職活動で最も重要なものとなるのです。
「国文学専攻」であることを心配されていますが、専門的な職種でない限り、大学での専攻に有利・不利はないと思います。
とはいえ、就活の面接では「どうして国文学専攻を選んだのか」ということは聞かれるでしょう。私も面接で何度も聞かれました。
この質問に答えるために重要だと思うのは、「意義を持って学ぶこと」と「国文学を語れること」の二点です。
一つ目の「意義を持って学ぶこと」とは、国文学の勉強について自分なりの意義をもって学ぶということです。
私の場合は、文学の研究は仮説検証を繰り返して自分の考えの妥当性を論理的に示していく作業だと考え、面接で聞かれたらそれを話していました。たとえばゼミ発表では、自分自身で課題を見つけて仮説を立て、文学作品や資料を調査して、その証拠を探していき、自分の仮説を検証していきます。このときに必要となる情報を収集して整理したり、客観的に分析したり、論理的に考えたりする力は、社会に出てからも必要な力だと思います。
ゼミの議論でも、自分の意見を論理的に主張する力、人の意見を受け止める力、受け止めた意見をふまえて深く考える力などが身につきます。文学研究では正解は一通りでなく、「なぜそのように考えたのか」が重要なので、人に伝えるための表現力や論理的思考力がつちかわれます。
二点目の「国文学を語れること」は、国文学専攻だからこそ国文学について語れるようになっておきましょうということです。みすけさんは、国文学でどんな作品が好きですか。好きな作品について、なぜその作品に興味があるのか、どう面白いのかを、自分の言葉で語れるようにしましょう。
面接官が自分の作品を知らなかったとしても、関心を持ってもらえるように語れたら、大学で選択した道をしっかり貫いてきたのだと感じてもらえるのではないでしょうか。国文学専攻だと自信を持って答えるには、まずは文学を楽しむのがいちばんです。
これらはあくまでも私の体験から考えた一例ですので、みすけさん自身で国文学を勉強する意義や好きな作品について考えてみてください。自分で体験して考えたことは、自然と説得力を持つと思います。
オリンピック後の不況について不安に思っていらっしゃいますが、いつ不況が来るかは、正直なところわかりません。みすけさんに今できるのは、大学での経験を通して就職活動がはじまる前までに不況を乗り越える力を付けることだと思います。
みすけさんは、大学一年の時点から就職活動についてよく考えていらっしゃるので、きっと充実した大学生活を送って、納得できる就職ができると思います。がんばってください^^
和歌のたとえ置きたるものの失せたるがごとし(置いてあったものが無くなったようなものだ)
お告げの和歌うち頼むある心して訪ねしに 散り行く花の草になりけり(花があると思って期待して訪ねてみると、花は散ってすでに草になっていた。)
よく人に利用されてしまいます。相手も最初からそういう気持ちで接してきているわけではないと思いますが、私と交流するうちにそのような傾向になってしまうようです。何年も付き合ってきた友達がお金目当てだったということに最近気がつき、とても寂しい思いをしました。今日の占いの結果も 期待しすぎると裏目に出ます、との答えが出ました。なんだか、当たっているようです。今、人との付き合い方がよくわからずにもやもやした気持ちでいます。もしよければ、アドバイスをお願いいたします。
人付き合いで悩みを抱えていらっしゃるのですね。長年付き合ってきた友達が、お金目当てだったと気づいたときのショックはどんなに大きかったことでしょう。つらく寂しい思いをなさったと思います。
冬至さんは今、人付き合いに対して、人間不信のような、疑心暗鬼な気持ちを抱えていらっしゃるのではないでしょうか。お告げの和歌は「花があると思って期待して訪ねてみると、花は散ってすでに草になっていた」という意味です。これは冬至さんの今までの状況と重なっているように思えます。
「私と交流するうちにそのような傾向になってしまうようです」とご自身で書かれているように、相手が最初からそうした気持ちで接してきているわけではないとすれば、冬至さんが無意識のうちにお金に頼った付き合いかたになってしまっているということはありませんか。あるいは不安感や自信のなさから、友達に対して尽くしすぎてしまったり、甘やかしすぎてしまったりするところがあるのではないでしょうか。そして相手に尽くすと同時に、「自分がしているように相手にもこうしてほしい」という期待もあったのかもしれません。
和歌では、期待していた花が散って草になったとありますし、たとえにも「置きたるものの失せたるがごとし」とあります。これは、確かに存在すると思っていた「花」や「置きたるもの」、つまり、冬至さんにとっては「友情」がいつの間にか消えていたということです。とはいえ、それは決して急に消えたわけではありません。花は時間と共に散って草になり、置いてあったものも、誰かが持って行ったか風に飛ばされてしまったか、なくなってしまった原因がどこかにあるのです。これと同じように、冬至さんと友達との関係も、勝手に利用される関係になったのではなく、なんらかの原因があるということでしょう。
時間が経つにつれ、咲いていた花が散って草になってしまうように、友達の心境や周囲の環境にも変化があったのでしょう。しかし、今は草になっていても、季節がめぐれば、ふたたび花を咲かせます。よき友という花を咲かせるためには、冬至さんが草の手入れ、つまり、友達との付き合い方をしっかりと見直し、それをじっくり育てていくことが大切なのではないでしょうか。
和歌のたとえ赤子の立ちたるがごとし(赤ちゃんが立ったようなものだ)
お告げの和歌今よりは初めて歩みそめにけり このゆく末の
先月彼と別れ、今30代半ばで今後結婚を考えるような人と出会えるのか不安になってきました。職場や身の回りでは出会いもないので婚活もしてみましたが、元々パッと人と仲良くなれる方でもないので、パーティーや飲み会での初対面の場で誰かを好きになることもありません。今回の占いでは「スタート地点に立っています」と出て、その通りだと思いました。人と良い御縁を結ぶのに、出かけると良い方角や場所、何かキーワード等があれば知りたいです。
まーうさん、こんにちは!私も初対面の人とパッと仲良くなれるような性格ではないので、お気持ち、よくわかります。
さっそく和歌を見てみましょう。この歌は今のまーうさんを肯定し、さらに前へ進むことができるよう応援してくれています。上の句は「今よりは初めて歩みそめにけり」。今初めてスタートしたのだなぁという意味で、これまでお付き合いしていた人と別れて新たな道を歩き始めるまーうさんの状況とリンクしています。下の句は「このゆく末の齢久しき」、これは、まだまだ先は長いよ、ということでしょう。
人が生きていくとき、この先の人生で一番若いのは「今」、この瞬間です。どんなときも、今後の人生で今が一番若いから何でもできる!と考えてみてはいかがでしょうか。きっと色々なことにチャレンジできるようになるはずです。まーうさんが行動し続ければ、結婚にかぎらず、人生そのものがもっと充実したものになると思います。
和歌のたとえは「赤子の立ちたるがごとし」。立つことができた赤ちゃんは、歩いたり走ったりしようとして自然と練習を始めます。立てたからといって、すぐに何かができるようになるわけではありません。何度も転び、また立ち上がり、それを繰り返すことで徐々に新しい世界が見えるようになっていくのです。
今、まーうさんは婚活という新しい道を選ばれました。こうしてスタート地点に立ったこと自体、すごいことです。次のステージへ行くまでには少し時間がかかるかもしれませんが、悪いことばかりではないと思います。時間をかけたからこそ見える景色があるはずです。そこへたどり着くまでの過程を楽しむことができれば、万々歳! そのような心持ちでやっていけば、きっといいご縁が舞い込んでくることでしょう。
「人と良いご縁を結ぶ」ために、どのようなことをすればよいのかについては、まーうさんが、この「開運☆せいめい歌占」という、江戸時代の和歌占いで占ってくださったことが手がかりになります。日本では古くから言霊(ことだま)の力が信じられてきました。結婚などのおめでたい席で「切る」のような忌み言葉が避けられるなど、現代にもその影響がありますね。実現してほしくないことが忌み言葉として避けられるのです。とすれば、それとは逆に、自分が実現したいことを口に出せば、それに近づけるのではないでしょうか。実際、ポジティブな発言をする人には、たくさんの人が魅力を感じます。「楽しい」、「嬉しい」、「ありがとう」などのプラスの意味の言葉を口に出すようにすれば、きっといい風が吹いてくることでしょう。
赤ちゃんがテーマの歌なので、赤ちゃんのように初々しい気持ちで人と接することもおすすめです。さらに挿絵をよく見てみると、壁や屏風に扇や井桁(いげた)の模様が描かれています。扇は末広がりの発展を、井桁は水の湧き出る井戸をあらわす縁起物。それにあやかって扇や井桁模様のものを身につけるのもよいと思います。
まーうさんの人生がいっそう充実したものになりますよう、応援しています!
和歌のたとえ深き淵にいるがごとし(深い淵に入るようなものだ)
お告げの和歌深きより深き淵にぞ入りにける 思ひの絶へぬこの身なりけり(ずぶずぶと深い水の中に沈んでしまった。心配ごとが絶えないなあ。)
双子の子どもたちが中学生となりました。そのことは喜ばしいことですが、部活動で共に忙しくなり、家にいる時間が少なく、あまり親子で話すことがなくなり、母の私はなかなかその状況に慣れず、寂しい気持ちになってしまいます。占っていただいたら、「深い淵にいるがごとし」と出たので、その通りだと思いました。
風の歌さん、ご相談ありがとうございます。お子さんの成長は嬉しくもあり、一方で、親御さんとしてはやはり寂しいものですね。今回のご相談は、「お子さんと話す時間が減ってしまい寂しい」とのことで、仲が悪くなってしまったわけではないのですよね。挿絵からもわかるように、あなたの眼前には、荒れる深い水が広がっています。これは寂しくて不安な現在の心情を表しているのではないでしょうか。この寂しさがどこまでも続いてしまうのではないかという不安が感じられます。
ここで挿絵を見てみましょう。不安そうな男性が水辺に立っていますが、その見方を少し変えてみると、危険な水の中にいるのではなく、安全な陸地にいることが見て取れます。これは、寂しい現状ばかりに目を向けず、他のことに目を向けてみると、気持ちが晴れるということではないでしょうか。
さらに陸地に目を向けると、男性の後ろには一休みできるような大きな木も生えています。お子さんのためにこれまで一生懸命に力を注いで、じぶんの時間を取れなかったことも多々あったと思います。お子さんが成長した今、これまでとは違ったことに目を向けて一休みしてみませんか。あるいは、挿絵の男性が後ろを振り返ると林が広がっているということから、昔の思い出を振り返ってみるのもよいと思います。ひと息ついたり、昔を懐かしんだりしている間に、激しく波打つ水は落ち着きを取り戻していくでしょう。
そして、あなたの心が落ち着き、お子さんにも時間のゆとりができた頃、それぞれの趣味や経験、思い出話を家族で共有してみてはいかがでしょうか。学校で部活動に励んでいるお子さんたちは、そのなかできっとたくさんの経験をしているはずです。今はあなたとお子さんの両方にゆとりのできるその日のために、それぞれが経験を蓄える時期。そんな風に考えてみると、寂しさも和らぐのではないかと思います。
和歌のたとえ水に流るるもののごとし(水に流れるもののようだ)
お告げの和歌いづくをば
24才学生です。僕は大学生なのですが彼女が居ません。このままでは一生独身なのではと不安です。今のうちから婚活サイト等に登録して活動すべきではないかと思っていますが、まだ20代だという思いがありまだそういったサービスに頼るのは早いのではと思ってしまいます。どうすべきでしょうか?
野獣先輩は、恋人がいないことを心配されているのですね。最後の学生生活ですし、社会に出ることを考えると、結婚までもが危ういように思えるお気持ちよくわかります。
お引きになった歌には「いづくをば己の住処と思へども」とあります。これは今のあなたの様子を表しています。自分に寄り添ってくれる恋人に出会えていないことを不安に思うあなたです。次に「尋むる心を宿と定めよ」ともあります。これは、探し求める心こそが自分の拠りどころになるという意味です。つまり、婚活サイトに登録するべきだろうかと不安に思うだけではなく、行動に移そうとするあなたの心意気は間違っていないということです。しかし、こういったサイトに登録していいものだろうかと迷ってもいらっしゃいますね。
晴明の開運メッセージをご覧なってください。「答えは自分の中にあります。一度立ち止まって」とあります。あなた自身、20代前半で婚活サイトに頼るのは早いのではとお考えです。これが答えなのではないでしょうか。
そして今、あなたはまさに「一度立ち止まって」歌占に来てくださいました。こうして歌占を通して立ち止まって自分を見つめる機会ができたわけですから、結婚を焦る気持ちをいったん落ち着けて、あなたらしさを発揮できる「己が住処」、つまり「居場所」を作ってみてはいかがでしょうか。居場所としてふさわしい場所こそが、自分の魅力を引き出すのです。
大学を卒業して就職すると、新たな世界が広がることでしょう。出会いもまた、さまざまな方向から広がります。 映画のようなロマンチックな出会いもあるでしょうし、親しい友達があなたにぴったりの人を紹介してくれるかもしれません。相手がいないときは、あらゆる可能性を楽しむ時間とも言えるでしょう。婚活は、そんな時間を過ごしてからでも遅くはないと思います。
ここが自分の居場所だと思えるような居心地のよい人と出会えますように。
和歌のたとえ薄き氷を踏むがごとし(薄い氷を踏むようなものだ)
お告げの和歌とにかくただ行き過ぎてあるものを 危うきことは我が身なりけり(とにかく、ただこうして過ぎているのだが、なんとも危うい我が身なのだなぁ。)
私は今まで恋愛をしたことがありません。自分は人には好かれないというコンプレックスが消えず、今までお付き合いすることなく生きてきました。今回の相手は行きつけの美容院の男性です。自分のことを何でも話せるので、それが恋愛感情と思い込んでいるだけなのか? でもこのごろその人のことを考えることが多くて。年齢は違いますが、境遇が似ているため、相手の方も私に対して興味を抱いている様子はあります。ですが、その方は結婚する気はないと以前話していたこともあり、私との会話はセールストーク的な感じでもあるかと思います。気持ちを伝えること、この先進展させることをとても悩んでいます。
気がついたら、その人のことを考えてしまう。 「今まで恋愛をしたことがない」そうですが、それはもう恋愛の道に足をふみいれています。でも、その世界にふみだしたばかりだし、はじめてのことだから、「薄氷を踏むがごとし」とあるように、おそるおそるなのでしょう。
ここからどう歩みを進めるかは、はるさん次第ですが、歌占の挿絵から考えるに、いま立っているのは氷が薄く張った池の上。挿絵に描かれた男性も、じぶんの足下を見て、ちょっと不安そうな顔つきです。 いま気になっているのは、結婚する気がないという10歳以上年上の美容師の男性とのこと。いつ割れるかわからない薄氷の道は、恋愛の世界に足を踏み入れたばかりの人には少し危険かもしれません。うっかり落ちたら冷たい水に溺れてしまいますし、体制を立て直すにも時間がかかりそうです。
少し視点を変えると、おっかなびっくりでも薄氷の上に立てているのだから、堅く安定した地面なら、もっとスムーズに歩き出せるのではないでしょうか。薄氷ではなく、しっかりした地面のように安心できる人に目を向けてみませんか。地に足を付けて歩き出せるのは、雪が溶けて春になってから。少し時間はかかるかもしれませんが、はるさんにとって安心できる人をじっくり探してみませんか。
はるさんからの質問を読んで資生堂のウェブサイト花椿で毎週木曜に連載されているコミック「ダルちゃん」が思い浮かびました。よかったら読んでみてくださいね。心をひらける人が見つかりますように。
和歌のたとえ神の守りあるがごとし
お告げの和歌ただ頼め しめぢが原のさせも草 我れ世の中にあらん限りは
新しい商売を始めようとしていますが、始めの一歩に当たって必要かもしれないと思った投資が私の資金力精一杯な割に回収できるか微妙で、ほとんど博打状態です。迷っている自分の背中を押すために占ってみました。江戸時代の占いは辛口とのこと、その割に良さげなものが出ている気がするので、良い結果につながるといいのですが。それにしても「しめじが原」というのはキノコのしめじでしょうか?もぐさはお灸の?もし何か「かけことば」的なものがあれば教えてください!
新たなご商売を始めるつもりとのこと、はじめてのときは誰もが不安ですね。
くらげさんが引いたのは、京都の清水寺の観音菩薩のお告げとして平安時代から伝わるありがたい歌。物事がうまくいかないかもと思い悩む女に対して、清水観音が詠んだ歌と伝えられています。女が思い悩む様子は今のくらげさんの状況と重なっているようです。
「しめぢが原」は下野国(栃木県)の地名で、「させも草」はお灸に使われるもぐさのこと。「しめぢが原」は、もぐさの産地として有名でした。「しめぢが原のさせも草」は、熱い思いで胸を焦がすことを、しめじが原のもぐさのお灸で身を焼くことにたとえたものです。静かに燃えるもぐさは、くらげさんの新しい商売に対する静かで熱い情熱をあらわしているようでもあります。
歌の第一句に「ただ頼め」から考えて、今のくらげさんに必要なのは「信頼」かもしれません。これは、仕事相手との「信頼」関係であり、新しい仕事をはじめる自分自身への「信頼」でもあります。「投資が回収できるか微妙」というところから、自分自身の判断を信頼できていないようにも感じられます。あたらしい商売をはじめるときには、それこそ「清水」の舞台から飛び降りるような勇気が必要かもしれません。でも、くらげさんが引いたのはなんといっても「清水観音」のお告げの歌!これと決めたら、自分を信じてはじめること、そして5年、10年と続けましょう。
続けていると、折りに触れてつらいこともあると思います。そんなときは、平安時代の人々と同じように、清水寺に参詣するとよいでしょう。観音菩薩の慈悲の心は広大無辺なことで知られています。
新しいご商売が軌道に乗りますように。
著者:平野多恵
出版社:笠間書院
価格:1,300円+税
おみくじ歌のルーツが鮮明に
各社寺の特徴やおみくじの歴史的な意義があらわれた五十首を収録。明治から現代までのおみくじに載せられた和歌を中心に、そのルーツとなる神のお告げの歌や和歌占いに用いられた歌をピックアップ。紹介された社寺にも行ってみたくなる。
著者:平野多恵
出版社:河出書房新社
価格:1,200円+税
人生を豊かにするおみくじの読み解き方!
おみくじに込められた神さまのメッセージとは?そしておみくじの正しい見方とは?平野先生がおみくじや和歌の歴史を解説、そのヒミツを解き明かします。御朱印帳ならぬ、おみくじ帳も付いてます。
著者:平野多恵/絵・遠藤拓人
出版社:夜間飛行
価格:3,600円+税
占い好き必携!歌占オラクルカードブック
今の自分に必要な和歌を神さまから受け取ることができる。32首の和歌で構成された歌占カードと、占い結果や歴史解説が読めるブックレット。占い好きだけでなく、猫好きをもうならせる本作はプレゼントにもおすすめです。